第35回 建設業と労務⑨(就活セクハラ対策義務化【令和8年12月までに施行予定】)

今回のテーマは求職者等に対するセクシュアルハラスメント(いわゆる「就活セクハラ」)です。法律が改正され、前回のカスタマーハラスメントと同じく、令和8年12月までにともに対策が義務化される予定です。
まずは国の資料をご覧ください。

出典:厚労省HP掲載のリーフレット「ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内」より一部抜粋し、加工して作成

次にセクハラについてです。
まず、そもそも何が「セクハラ」にあたるのでしょうか。
その定義については、以下の条文をご覧ください。

男女雇用機会均等法(令和7年6月現在施行済みの条文)
(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
(以下、略)

職場におけるセクハラには「対価型」と「環境型」の2種類があります。
「対価型」とは、職場での性的な言動に対する労働者の対応により労働条件での不利益を受けることをいいます。その例としては、性的な言動を拒否したため解雇されたことなどが挙げられます。
「環境型」とは、性的な言動が原因で就業環境が害されることをいいます。その例としては、職場内での性的な内容の掲示物掲載により、労働者が苦痛に感じて業務に専念できないことなどが挙げられます。
また、異性だけでなく同性に対する性的言動も対象になることに注意する必要があります。

次に、就活中の学生へのセクハラ防止対策義務化についてです。

男女雇用機会均等法(令和8年12月までに施行予定の条文)
(求職活動等における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
第十三条 事業主は、求職者その他これに類する者として厚生労働省令で定めるもの(以下この項及び次項並びに次条において「求職者等」という。)によるその求職活動その他求職者等の職業の選択に資する活動(以下この項及び同条第一項において「求職活動等」という。)において行われる当該事業主が雇用する労働者による性的な言動により当該求職者等の求職活動等が阻害されることのないよう、当該求職者等からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
(以下、略)

そして、就活セクハラの具体的な内容については、以下の調査結果が参考になります。

出典:令和5年度厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査報告書 (概要版)」P42,P43より一部抜粋し、加工して作成

「食事やデートへの執拗な誘い」が多く、「リクルーターと会ったとき」などに起きやすいです。
企業の対策としては、以下が参考になります。

出典:厚生労働省作成「就活ハラスメント対策リーフレット」P3より一部抜粋し、加工して作成

このように、社内規定や就業規則整備やハラスメント防止研修を行うほか、学生と1対1で接触しないようルール化し、指導することも大切です。

以上が、建設業と労務⑨(就活セクハラ対策義務化【令和8年12月までに施行予定】)の概要とその注意点です。少しでも参考になれば幸いです。

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