第34回 建設業と労務⑧(カスタマーハラスメント対策義務化【令和8年12月までに施行予定】)

今回のテーマはカスタマーハラスメントです。法律が改正され、令和8年12月までに対策が義務化される予定です。
建設業も含めたすべての企業が対象ですので、まずは国の資料をご覧ください。

出典:厚労省HP掲載のリーフレット「ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内」より一部抜粋し、加工して作成

まず、カスタマーハラスメント対策義務化について、今後施行予定の条文をご覧ください。

労働施策総合推進法(令和8年12月までに施行予定の条文)
(職場における顧客等の言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
第三十三条 事業主は、職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者(次条第五項において「顧客等」という。)の言動であつて、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたもの(以下この項及び次条第一項において「顧客等言動」という。)により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、労働者の就業環境を害する当該顧客等言動への対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
(以下、略)

このように、カスタマーハラスメントは次の3つの要素すべてが必要です。
① 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う。
② 社会通念上相当な範囲を超えた言動。
③ 労働者の就業環境が害される。

特にカスタマーハラスメントは、正当なクレームとは異なります。買った商品や受けたサービスに対する正当な要望であれば、会社として次の改善につなげられるのですが、「社会通念上相当な範囲を超えた」謝罪要求などは就業環境を悪化させ、対応する労働者を疲弊させます。ただ、判断が難しいケースもあります。

カスタマーハラスメントについて、具体的なデータは以下のとおりです。

出典:令和3年度厚生労働省委託事業「カスタマーハラスメント企業対策マニュアル」P6より一部抜粋し、加工して作成

出典:「令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書 (概要版)」(以下、「厚労省委託事業調査」)P9より一部抜粋し、加工して作成

このように「同じ内容を繰り返すクレーム」や「ひどい暴言」が多く、他のハラスメントと比較しても、近年増加傾向にあることが分かります。

対策については、以下が参考になります。

出典:厚生労働省作成「カスタマーハラスメント対策リーフレット」P4より一部抜粋し、加工して作成

事前準備と事後対応に分けて、あらかじめ備えておくことが求められます。


以上が、建設業と労務⑧(カスタマーハラスメント対策義務化【令和8年12月までに施行予定】)の概要とその注意点です。少しでも参考になれば幸いです。

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