(1)建設業者は、その請け負った建設工事の完成について誠実に履行することが必要です。したがって、元請負人がその下請工事の施工に実質的に関与することなく、以下の場合に該当するときは、一括下請負に該当します。 ① 請け負った建設工事の全部又はその主たる部分について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合 ② 請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合
(注1)「その主たる部分を一括して他の業者に請け負わせる場合」とは、下請負に付された建設工事の質及び量を勘案して個別の建設工事ごとに判断しなければなりませんが、例えば、本体工事のすべてを一業者に下請負させ、附帯工事のみを自ら又は他の下請負人が施工する場合や、本体工事の大部分を一業者に下請負させ、本体工事のうち主要でない一部分を自ら又は他の下請負人が施工する場合などが典型的なものです。 (具体的事例) ① 建築物の電気配線の改修工事において、電気工事のすべてを1社に下請負させ、電気配線の改修工事に伴って生じた内装仕上工事のみを元請負人が自ら施工し、又は他の業者に下請負させる場合 ② 戸建住宅の新築工事において、建具工事以外のすべての建設工事を1社に下請負させ、建具工事のみを元請負人が自ら施工し、又は他の業者に下請負させる場合
(注2)「請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事を一括して他の業者に請け負わせる場合」とは、次の(具体的事例)の①及び②のような場合をいいます。 (具体的事例) ① 戸建住宅10戸の新築工事を請け負い、そのうちの1戸の建設工事を一社に下請負させる場合 ② 道路改修工事2キロメートルを請け負い、そのうちの500メートル分について施工技術上分割しなければならない特段の理由がないにもかかわらず、その建設工事を1社に下請負させる場合
三 一括下請負に対する発注者の承諾 民間工事(共同住宅を新築する建設工事を除く。)の場合、元請負人があらかじめ発注者から一括下請負に付することについて書面による承諾を得ている場合は、一括下請負の禁止の例外とされていますが、次のことに注意してください。 ① 建設工事の最初の注文者である発注者の承諾が必要です。発注者の承諾は、一括下請負に付する以前に書面により受けなければなりません。 ② 発注者の承諾を受けなければならない者は、請け負った建設工事を一括して他人に請け負わせようとする元請負人です。したがって、下請負人が請け負った建設工事を一括して再下請負に付そうとする場合にも、発注者の書面による承諾を受けなければなりません。当該下請負人に建設工事を注文した元請負人の承諾ではないことに注意してください。