第18回 欠格要件って何?

今回は欠格要件について解説します。この欠格要件に該当すると、許可申請や許可更新申請は認められないだけでなく、申請後に欠格要件に該当することが判明すると許可は取消しになりますので、大変重要です。
そしてこれは役員や一定の使用人も対象になりますので、欠格要件に該当する事実がないか、十分に確認しておく必要があります。
欠格要件については、法令のほか、大阪府作成の建設業許可の手引き(以下「手引き」)と、国作成の建設業許可事務ガイドライン(以下「ガイドライン」)では、以下のように記載されています。

建設業法(一部抜粋)
第八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあつては、第一号又は第七号から第十四号までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 (…中略…)一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者
三 (…中略…)一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る(…中略…)通知があつた日から当該処分があつた日(…中略…)までの間に第十二条第五号に該当する旨の(…中略…)届出をした者で当該届出の日から五年を経過しないもの
四 前号に規定する期間内に第十二条第五号に該当する旨の(…中略…)届出があつた場合において、前号の通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの
五 (…中略…)営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
六 許可を受けようとする建設業について(…中略…)営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
七 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
八 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(…中略…)の規定(…中略…)に違反したことにより、又は刑法(…中略…)若しくは暴力行為等処罰に関する法律(…中略…)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
九 (…中略…)暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(第十四号において「暴力団員等」という。)
十 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
十一 (略)
十二 法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第十号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者については(…中略…)許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者については(…中略…)届出がされる以前から、第六号に該当する者については(…中略…)営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
十三 個人で政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第十号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者については(…中略…)許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者については(…中略…)届出がされる以前から、第六号に該当する者については(…中略…)営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
十四 暴力団員等がその事業活動を支配する者

建設業法
第12条第5項
(一部抜粋)
(廃業等の届出)
五 許可を受けた建設業を廃止したとき(…中略…)は、当該許可に係る建設業者であつた個人又は当該許可に係る建設業者であつた法人の役員

手引き(一部抜粋)
P2-32
注1【一定の法令の規定】
「一定の法令の規定」とは次に掲げるものです。
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(…中略…)の規定(…中略…)に違反した者に係る同法第 46条、第 47 条、第 49 条又は第 50 条
刑法(…中略…)第 204 条(傷害罪)、第 206 条(現場助勢罪)、第 208条(暴行罪)、第 208 条の3(凶器準備集合罪)、第222 条(脅迫罪)又は第 247 条(背任罪)
(…以下、略)

注2【刑の執行猶予の言渡しを受けた者の取扱い】
刑の執行猶予の言渡しを受けた後、その言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過した者は欠格事項には該当しません。

ガイドライン(一部抜粋)
【第8条関係】
1.法第8条本文括弧書きの趣旨
許可の申請が、更新に係るものである場合においては、法第8条第2号から第6号までのいずれかに該当しても許可の拒否事由にならないとされているが、これは法第3条の許可が業種ごとに与えられるものであり、法第29条の規定による取消しを受けていない他の建設業の許可についてはその更新をする必要があること、営業の停止又は禁止は許可の更新を認めないものではないことによるものである。
2~4 (略)

ポイントは以下のとおりです。


①許可取消処分前(聴聞通知後)の廃業届について
上記第3号にあるように、許可取消処分が行われる前の聴聞(処分前に事業者が行政に意見を述べる機会のこと)の通知後に廃業届を提出して、その廃業届出から5年を経過しない場合でも、許可申請における欠格要件に該当します。

②刑罰を受けた場合
上記第7号の「禁固以上の刑」は対象法令に限定はないですが、第8号の「罰金以上の刑」は、建設業法や刑法などの一定の法令の規定が対象です。例えば、建設業法や刑法(暴行罪等)で罰金刑を受けた場合などは欠格要件に該当する恐れがあります。
なお、ガイドラインにあるように、刑の執行猶予の言渡しを受けた後、その言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過した者は欠格要件に該当しません。

③許可の更新時について
新規許可取得時と異なり、許可更新時においては第8条本文のかっこ書きの中で、第2号~第6号が除外されています。例えば、業種Aで許可を取り消されて5年以内(第2号)であっても、そのことが直ちに、別の業種Bの「許可更新」における欠格要件に該当するわけではないです。これは、許可はあくまでも業種ごとに与えられるものとの考えによるものです。
またこのことから、営業停止や禁止期間中であっても、それ自体が「許可更新」における欠格要件に該当するわけではないです。

以上が、欠格要件の概要とその注意点です。少しでも参考になれば幸いです。

もし建設業許可取得をご検討の業者様がおられましたら、お気軽に当事務所にご相談ください。法律用語は難しいですが、わかりやすい言葉を心がけて対応させていただきます。

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