第4回 府外に支社や出張所がある場合、建設業許可はどうなるの?

一般的には、「本店」、「支社」、「事務所」、「出張所」などの様々な用語がありますが、それとは別に、法律用語として「営業所」という考え方(概念)があります。 この「営業所」とは、いったいどんな意味なのでしょうか。

まずは法令をみてみましょう。

建設業法(一部抜粋)
(建設業の許可)                                             第三条 建設業を営もうとする者は、…(中略)…二以上の都道府県の区域内に営業所本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。

建設業法施行令(一部抜粋)                                   (支店に準ずる営業所)
第一条 建設業法(以下「法」という。)第三条第一項の政令で定める支店に準ずる営業所は、常時建設工事の請負契約を締結する事務所とする。

さらに、国が示す「建設業許可事務ガイドライン」(以下、「ガイドライン」)において、「営業所」は以下のように詳しく説明されています。

ガイドライン P8(一部抜粋)                                     2.営業所の範囲について                                                   「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいう。したがって、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等、建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然本条の営業所に該当する。

また「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等、請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいい、契約書の名義人が当該事務所を代表する者であるか否かを問わない。 …(以下略)

このように、「営業所」とは法令上は「本店」や「支店」のほか、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」のことを意味します。
この「営業所」が複数の都道府県にある場合は国土交通大臣の許可(大臣許可)、1つの都道府県の区域内にある場合は都道府県知事の許可(知事許可)が必要です。
(大阪府に本店がある場合、大臣許可申請の提出先は国土交通省近畿地方整備局です。)

そして特に注意を要するのは、以下の2点です。
①「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」について
…「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」は、その名称にかかわらず、あくまで業務内容により判断され、請負契約締結だけでなく見積りや入札を行う場合も含まれます(「営業所」に該当する)。                 つまり、営業所として届け出していない事務所で、上記のような請負契約締結などの行為を行うことはできないということです。

②軽微な建設工事との関連について
…ある業種について許可を受けたが、営業所として届け出していない事務所がある場合、その事務所ではその業種の「軽微な建設工事」も請け負えないです。
国のガイドラインには以下のとおり示されています。

ガイドライン P8(一部抜粋)                                     2.営業所の範囲について 

…(中略)…なお、1.(1)のとおり、許可を受けた業種については軽微な建設工事のみを請け負う場合であっても、届出をしている営業所以外においては当該業種について営業することはできない。

これは以下のように考えるとわかりやすいです。

つまり、許可を一度受けると、営業所として届け出しない場合は、請負契約締結などができなくなるということです。そのため、許可を受ける前に十分検討する必要があります。

今回は「営業所」の意味とその重要性について、解説させていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。
もし建設業許可取得をご検討の業者様がおられましたら、お気軽に当事務所にご相談ください。法律用語は難しいですが、わかりやすい言葉を心がけて対応させていただきます。

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