-1024x559.png)
令和2年10月施行の法改正により、建設業許可申請や更新において、社会保険への加入が義務づけられました。具体的には以下のとおりです。
建設業法
(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。
(…以下、略)
建設業法施行規則
(法第七条第一号の基準)
第七条 法第七条第一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。
二 次のいずれにも該当する者であること。
イ 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第三条第三項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、健康保険法施行規則(大正十五年内務省令第三十六号)第十九条第一項の規定による届書を提出した者であること。
ロ 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第六条第一項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、厚生年金保険法施行規則(昭和二十九年厚生省令第三十七号)第十三条第一項の規定による届書を提出した者であること。
ハ 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第五条第一項に規定する適用事業の事業所に該当する全ての営業所に関し、雇用保険法施行規則(昭和五十年労働省令第三号)第百四十一条第一項の規定による届書を提出した者であること。
このように医療保険、年金、雇用保険の3保険の加入が必要となっています。
それぞれの具体的に加入が必要な場合については、以下の国の資料を引用します。
国土交通省HP「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」(以下、「下請指導ガイドライン」)掲載の【参考資料2】より引用
このように、法人か個人事業主か、常用労働者の数、就労形態によって、加入が必要な保険は変わります。
これに関連して、お伝えしたいポイントは以下の3点です。
①偽装一人親方の防止
上記資料の右下に「※3 但し、一人親方は請負としての働き方をしている場合に限る」という記載があります。この意味について、本来「一人親方」とは、個人事業主として、十分な経験、知識、技能を持って建設工事を請け負う人のことです。しかし社会保険料削減などを目的として、本来は労働者として雇用すべき人を一人親方と偽装して請負契約を結ぶ(雇用契約を結ばない)という違法な事例が多くあり、国はこれを問題視しています。
国の作成する下請指導ガイドラインにも、以下のように示されています。
下請指導ガイドライン 第2(9)より一部抜粋
P8
事業主が労務関係諸経費の削減を意図して、これまで雇用関係にあった労働者を対象に
個人事業主として請負契約を結ぶことは、たとえ請負契約の形式であっても、当該個人事
業主が実態に照らして労働者に該当する場合、偽装請負として職業安定法(昭和22年法
律第141号)等の労働関係法令に抵触するおそれがあることから、この観点からも働き
方自己診断チェックリストを活用して実態の確認を行うこと。
他方、雇用契約を締結していないにもかかわらず、自社の労働者である社員とすること
も適正とは言えない。具体的には次のような例が考えられる。
ア 請負契約を締結し、社会保険にも加入していないが、例えば会社のヘルメットやユ
ニホーム、名刺等を支給され、表向きは社員と呼ばれているもの
イ 雇用契約を締結しておらず、社会保険も加入していないが、作業員名簿上は社員
(雇用)とされているもの・P17 別紙4 働き方自己診断チェックリストより引用
②健康保険証の廃止について
昨年12月に健康保険証が廃止されたことに伴い、どのように現場作業員の健康保険加入状況を確認するのかについて、国より事務連絡の形で文書が出されています。
内容を要約すると、以下のとおりです。
「健康保険証の廃止に伴う現場作業員の健康保険の加入証明書類について」(令和6年11月6日 国土交通省事務連絡)を一部加工して引用
原則:建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録情報を確認
例外①:CCUS未加入で、現場作業員がマイナ保険証あり
⇒保険者より発行される「資格情報のお知らせ」などにより確認
例外②:CCUS未加入で、現場作業員がマイナ保険証なし
⇒保険者より発行される「資格確認書」のコピーなどにより確認
※令和6年12月1日時点で有効な健康保険証のコピーについては、その有効期限まで(最長、令和7年12月1日まで)、従来通り作業員の健康保険の加入状況の確認を行うことができる。
③労災保険の「特別加入」について
3保険(医療保険、雇用保険、年金)から少し話がそれますが、労災保険について補足です。
- 事業主や会社役員の方は通常は労働者ではない(労働者を雇用する経営者の立場)ので、労災保険には原則加入できないですが、「特別加入」という制度を使えば、労災保険に加入できる場合があります。この特別加入には、主に第一種特別加入(中小事業主等)と第二種特別加入(一人親方)などがあります。
- そして加入するための要件の一つとして、第一種特別加入(中小事業主等)には「労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること」、第二種特別加入(一人親方)には「同一業種の一人親方の団体に加入して、その団体経由で加入手続きをすること」などがあります。
- 保険料や団体会費等の支払いは必要になりますが、一定の要件を満たせば保険給付や特別支給金が支給されます。なお、当事務所は許認可に関する行政書士業務だけでなく、特別加入を含めた、社会保険や労働保険に関する社労士業務も対応可能です。
以上が、「社会保険の加入などについて」でした。少しでもご参考になれば幸いです。
もし建設業許可取得をご検討の業者様がおられましたら、お気軽に当事務所にご相談ください。法律用語は難しいですが、わかりやすい言葉を心がけて対応させていただきます。
↓
ワークルー行政書士・社労士事務所のホームページはこちら