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前回は「経営業務管理責任者」として、個人としての経営能力をもとに許可できるかどうか判断していましたが、今回は「経営業務管理体制」、すなわち組織としての経営体制をもとに判断するということです。
この「経営業務管理体制」は令和2年10月施行の建設業法改正により登場しましたが、建設業では人手不足や後継者問題が深刻なため、従前の個人としての経営能力に加えて、組織としての経営体制が整っている場合にも許可基準を拡充したということです。
国の資料によると、その改正趣旨は以下のとおりです。
「今般、建設業者の持続可能性の観点から、①経営能力(経営業務管理責任者)に関する基準を見直し、経営能力をこれまでと同様に担保できる体制が整っているような場合には、基準に適合しているものとし許可を認めることとした。」「新・担い手三法について」(国土交通省作成資料 令和2年9月)P35より引用
そして、「経営業務管理体制」について大阪府作成の「建設業許可の手引き」(以下、「手引き」)には、以下のように記載されています。
手引き2-1(一部抜粋)
ロ 常勤役員等のうち一人が次の(b 1)(b 2)いずれかに該当する者であって、かつ、当該常勤役員等を直接に補佐する者として次の(c 1)(c 2)(c 3)をそれぞれ置く者であること。
【 常勤役員等 】
(b 1)建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
(b 2)5年以上役員等としての経験を有し、かつ建設業に関し2年以上役員等としての経験をを有する者
【 常勤役員等を直接に補佐する者 】
(c 1)(c 2)(c 3)における業務経験については、許可を受けている建設業者にあっては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあっては当該建設業を営む者における5年以上の建設業の業務経験に限る。
(c 1)許可の申請を行う建設業者において5年以上の財務管理の業務経験を有する者
(c 2)許可の申請を行う建設業者において5年以上の労務管理の業務経験を有する者
(c 3)許可の申請を行う建設業者において5年以上の業務運営の業務経験を有する者
(…以下、略)
これを図でまとめると、以下のとおりです。

さらに、国の建設業許可事務ガイドライン(以下、「ガイドライン」)には以下のような記載があります。
ガイドライン 第7条関係1(1)⑧ P26(一部抜粋)
規則第7条第1号ロの「財務管理の業務経験」とは、建設工事を施工するにあたって必要な資金の調達や施工中の資金繰りの管理、下請業者への代金の支払いなどに関する業務経験(役員としての経験を含む。以下同じ。)をいう。「労務管理の業務経験」とは、社内や工事現場における勤怠の管理や社会保険関係の手続きに関する業務経験をいう。「業務運営の経験」とは、会社の経営方針や運営方針の策定、実施に関する業務経験をいう。
これらの経験は、申請を行っている建設業者又は建設業を営む者における経験に限られる。
「直接に補佐する」とは、組織体系上及び実態上常勤役員等との間に他の者を介在させることなく、当該常勤役員等から直接指揮命令を受け業務を常勤で行うことをいい、組織図その他これに準ずる書類によりこれを確認するものとする。
(…以下、略)
ポイントは以下のとおりです。
①常勤役員等に関する各要件((b1)(b2))は併用できない

つまり(b1)と(b2)はあくまで別々の要件なので、上記の例だと(b1)、(b2)それぞれ4年となり、「5年以上」という要件を満たしません。
②直接補佐者については、申請会社での経験のみ認められる

上記のように、たとえ同じ労務管理経験であっても、他社での経験であれば認められず、「5年以上」という要件を満たしません。なお、常勤役員等の「役員等としての経験」については、他社での経験も認められますので、違いに注意が必要です。
以上が、「経営業務管理体制」の要件とその注意点です。少しでも参考になれば幸いです。
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