第5回 特定建設業許可って何?

発注者から直接請け負った工事について、一定額以上を下請けに出す場合、より許可基準の厳しい「特定建設業許可」を取得する必要があります。

これは一般の許可よりも厳しい許可基準を設け、より厳格な規制を課すことで、下請負人を保護することなどが目的です。 具体的には、法令等には以下のとおり定められています。

建設業法(一部抜粋)
(建設業の許可)

第三条 
二 建設業を営もうとする者であつて、その営業にあたつて、その者が発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事に係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令で定める金額以上となる下請契約を締結して施工しようとするもの

建設業法施行令(一部抜粋)

(法第三条第一項第二号の金額)
第二条 法第三条第一項第二号の政令で定める金額は、五千万円とする。ただし、同項の許可を受けようとする建設業が建築工事業である場合においては、八千万円とする。

建設業許可事務ガイドライン(一部抜粋)

P9 第3条関係4

4.令第2条の「下請代金の額」について 発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、元請負人が5,000万円(建築一式工事にあっては8,000万円)以上の工事を下請施工させようとする時の5,000万円には、元請負人が提供する材料等の価格は含まない

つまり、発注者から直接請け負う1件の工事について、下請代金の総額(複数の下請業者がいる場合はその合計額)が5000万円(建築一式工事は8000万円)以上となる場合に、「特定建設業許可」が必要です。

ここでポイントが2つあります。

①材料等の価格について

…元請負人が提供する材料等の価格は下請代金に含みません。                         ※「軽微な建設工事」の「500万円未満」の基準に材料価格を含むのと異なります。

②「下請代金の額」の基準の改正について

…「下請代金の額」の基準が従前は4500万円(建築一式工事は7000万円)でしたが、令和7年2月から5000万円(建築一式工事は8000万円)に改正されています。(国交省発表資料参照)

また、特定建設業許可については、建設業許可事務ガイドライン(以下、「ガイドライン」)に以下のとおり定められています。

ガイドライン(一部抜粋)

P8 第3条関係1(2)一般建設業の許可と特定建設業の許可

許可は、一般建設業と特定建設業の別に区分して行うものであり、同時に一の建設業につき一般建設業の許可と特定建設業の許可が重複することはあり得ない。ただし、一の建設業者につき二以上の業種について、それぞれ一般建設業の許可及び特定建設業の許可をすることは差し支えない。

P12 第5条及び第6条関係 2(1)②

「般・特新規申請」…(中略)…この場合、一般建設業の許可のみを受けている者が、許可を受けている建設業の全部又は一部について特定建設業の許可を申請するときは、法第3条第6項の規定により、その申請をそのまま「般・特新規」として取り扱って差し支えないが、特定建設業の許可のみを受けている者が、許可を受けている建設業の一部について一般建設業の許可を申請しようとするときは、事前に当該一部の特定建設業を廃止させた後、新たに「般・特新規」として一般建設業の許可を申請させることを必要とする。ただし、特定建設業の許可のみを受けている者が、許可を受けている建設業の全部について一般建設業の許可を申請しようとする場合には、特定建設業の全部を廃業させた後、新たに一般建設業の許可を申請させる必要があるので、「般・特新規」ではなく「新規」に該当する。

つまり、業種ごとに一般か特定かを区別し、各業種について一般⇒特定、特定⇒一般のように変更することができます。

一般⇒特定については、すべて「般・特新規」という申請方式なのですが、特定⇒一般については、以下のとおり少し違いがあります。

今回は「特定建設業許可」の概要について、一般許可との違いを中心に解説させていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。

もし建設業許可取得をご検討の業者様がおられましたら、お気軽に当事務所にご相談ください。法律用語は難しいですが、わかりやすい言葉を心がけて対応させていただきます。

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