第8回 経営業務管理責任者(a 2)(a 3)について

今回は、前回の続きとして、「常勤役員等」のうち、(a 2)(a 3)の要件の概要について解説します。

大阪府作成の「建設業許可の手引き」(以下、「手引き」)と国の建設業許可事務ガイドライン(以下、「ガイドライン」)には以下のような記載があります。

手引き2-1(一部抜粋)

常勤役員等のうち一人が次の(a 1 )(a 2 )(a 3 )いずれかに該当する者であること

(a 1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者

(a 2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者

(a 3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

(…以下、略)

ガイドラインP23~24(一部抜粋)

【第7条関係】

1.経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であることについて(第1号)

(1)適正な経営体制について(規則第7条第1号)

「常勤役員等」とは、法人である場合においてはその役員のうち常勤であるもの、個人である場合にはその者又はその支配人をいう。「役員」とは、業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。なお、「業務を執行する社員」とは、持分会社の業務を執行する社員をいい、「取締役」とは、株式会社の取締役をいい、「執行役」とは、指名委員会等設置会社の執行役をいう。

執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等については、原則として「役員」には含まれないが、業務を執行する社員、取締役又は執行役に準ずる地位にあって、建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受けた執行役員等(建設業に関する事業の一部のみ分掌する事業部門(例えば、建築部門・土木部門の両方を有する会社において建築部門のみを分掌する場合など一部の営業分野のみを分掌する場合や、資金・資材調達のみを分掌する場合等)の業務執行に係る権限移譲を受けた執行役員等を除く。以下同じ。)については、「これらに準ずる者」として含まれるものとする。

ガイドラインP25(一部抜粋)

⑦ 経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験について

イ 経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験(以下「補佐経験」という。)とは、経営業務の管理責任者に準ずる地位(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等、営業取引上対外的に責任を有する地位に次ぐ職制上の地位にある者)にあって、建設業に関する建設工事の施工に必要とされる資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請業者との契約の締結等の経営業務全般について、従事した経験をいう。

(…以下、略)

ポイントは以下のとおりです。

・「執行役」と「執行役員」の違い

「執行役」は、取締役と同様に会社法上の「役員」にあたり、会社経営は取締役が担い、現場の業務執行は執行役が担います。

⇔一方、「執行役員」は会社法に定めがないのですが、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受けている場合は、取締役や執行役などの役員に「準ずる者」として扱われます。

⇒申請日において①「常勤役員等」であり、かつ、②(a 1)(a 2)(a 3)のいずれかに該当していることが必要ですが、取締役や執行役に「準ずる者」として扱われる執行役員の場合、①「常勤役員等」に含まれ、また②(a2)の5年経験に含めることができます。

・「準ずる者」に含まれないケース

ただ、注意点として、たとえ執行役員が代表取締役等から具体的な権限委譲を受けていたとしても、「建設業に関する事業の一部のみ分掌する事業部門(例えば、建築部門・土木部門の両方を有する会社において建築部門のみを分掌する場合など一部の営業分野のみを分掌する場合や、資金・資材調達のみを分掌する場合等)」は、含まれません。

※やはり判断が難しいケースもあるためか、大阪府の手引きでは、執行役員等の経験の場合は、事前に建設業許可グループに相談するよう求めています。

まとめると、以下のとおりです。

前提:申請日現在「常勤役員等」であること

そしてその者が以下のいずれかを満たすこと

  • 取締役、執行役又はこれらに準ずる者(要件を満たす執行役員等)等の経験だけで5年以上
  • 上記が5年未満の場合でも、「営業取引上対外的に責任を有する地位に次ぐ職制上の地位」として「経営業務全般」に従事した経験(「補佐経験」)も含めて6年以上

以上が、(a 2)(a 3)の要件とその注意点です。少しでも参考になれば幸いです。

もし建設業許可取得をご検討の業者様がおられましたら、お気軽に当事務所にご相談ください。法律用語は難しいですが、わかりやすい言葉を心がけて対応させていただきます。

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