第13回 現場への配置技術者(主任技術者又は監理技術者)って何?

技術者は「営業所」と「現場」の両方に必要で、そのうち前回は「営業所」の技術者の話でした。今回は、「現場」の技術者の解説を行いたいと思います。

現場に配置する技術者には、「主任技術者」(元請・下請)と「監理技術者」(元請)の2種類があります。役割としては、建設工事を適正に行うため、施工計画書や施工要領書の作成、工事の進捗管理、現場作業での技術指導などを担います。

そして、元請の主任技術者又は監理技術者は、請け負った建設工事全体の統括的施工管理を行うのに対し、下請の主任技術者は請け負った範囲の建設工事のみの施工管理を行うという違いがあります。

建設業法(一部抜粋)
(主任技術者及び監理技術者の設置等)
第二十六条 建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。
2 発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者(当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない。

建設業法施行令(一部抜粋)
(法第三条第一項第二号の金額)
第二条 法第三条第一項第二号の政令で定める金額は、五千万円とする。ただし、同項の許可を受けようとする建設業が建築工事業である場合においては、八千万円とする。

要件は以下のとおりです。

  • 主任技術者、監理技術者共通:工事を請け負った業者との間に「直接的かつ恒常的な雇用関係」があること(出向者、派遣社員、該当工事のみの短期雇用者などは原則不可)
  • 主任技術者(原則):①1級又は2級の国家資格者、②大卒(指定学科)+実務経験3年、③高卒(指定学科)+実務経験5年、④実務経験10年 など
  • 監理技術者(原則):①1級国家資格者、②主任技術者の要件+原則4500万円以上の元請としての指導監督的な実務経験2年以上(※②は指定建設業の業種以外)など

ポイントは以下のとおりです。

・法律の「建設業者」とは建設業許可業者のことなので、許可業者の許可を受けた業種については、500万円未満の軽微な建設工事でも主任技術者の配置が必要(下図の黄色セル部分)です。                                ⇕                                                   ・一方、許可業者であっても許可を受けていない業種については、500万円未満の軽微な建設工事であれば主任技術者の配置は不要です。

そのほか、以下の点にも注意が必要です。

  • 監理技術者が必要なのは、一次下請への発注総額が5000万円(建築一式工事は8000万円)以上の場合であって、二次下請以降への発注額は含みません。
  • 軽微な建設工事として許可が原則不要となる「500万円未満」の基準では、注文者が提供する材料費を含めます。しかし、監理技術者が必要となる「5000万円以上」の基準では、元請が下請に提供する材料費は含めません。
  • 当初主任技術者を配置していた場合でも、途中で想定外の追加工事等が発生して下請への発注総額が「5000万円以上」となった場合、監理技術者の配置が必要です。

これらを踏まえ、以下の事例で考えてみましょう。

<事例(建築一式工事以外)>                                 ○当初の元請から一次下請への発注総額4700万円、一次下請から二次下請への発注総額400万円、元請提供の材料費は500万円                                         ⇒二次下請への発注総額と元請提供の材料費(以下、「材料費等」)を含めずに4700万円なので、元請では主任技術者が必要(一次下請・二次下請も、許可業者であれば主任技術者が必要)                                            ○その後、追加工事により一次下請への発注総額が5200万円に増加(材料費等は変更なし)           ⇒材料費等を含めずに5200万円なので、元請では監理技術者が必要 

※このような増加が予想される場合、あらかじめ監理技術者になりうる技術者(1級国家資格保有者等)を配置しておくことが必要です。

以上が、現場への配置技術者(主任技術者又は監理技術者)の概要とその注意点です。少しでも参考になれば幸いです。

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